2018.9.3(月)
カリブ海の立憲君主制国家・ジャマイカの英雄に、かつてボブ・マーリー(Bob Marley)というレゲエ・ミュージシャンがいた。
1930年代、この国で、ジャマイカの労働者階級と農民を中心にして、聖書を聖典とする宗教的思想運動が発生した。
これは、基本的にはアフリカ回帰運動(パン・アフリカ主義)の要素を持ち、エチオピア帝国最後の皇帝、ハイレ・セラシエ1世をジャー(聖書の神ヤハウェ(エホバ)の短縮形)の化身、もしくはそれ自身だとの解釈の上で、イギリスによる植民地支配で一握りのエリートによって支配され、度重なる自然災害もあって社会的に抑圧されたジャマイカ市民による抵抗運動=ラスタファリ運動(ラスタファリアニズム)というものであった。
この運動を進めるに当たり、1966年、ハイレ・セラシエ1世の来訪を契機に、ラスタ(運動の実践者)の思想やメッセージを伝える手段としての音楽、すなわち「レゲエ」の流行が始まった。
ラスタのミュージシャンやシンガー、特にボブ・マーリーが、さまざまなラスタのメッセージを音楽に乗せ、国民の多数に支持されるようになった。。。
ジャマイカにはこういう一つの歴史があるそうだ。
Evergreen Music通算1177曲目のこの曲は、スティーヴィー・ワンダーがボブ・マーリーに触発されて作ったトリビュート・ナンバー(1980)。
レゲエのリズムを取り込んだり、歌詞でもレゲエと深い関係を持つラスタファリアズムに触れるなど、レゲエを強く感じさせる作品で大ヒットとなった。曲名にもボブの曲名「Jamming」を引用している。
なお、「ジャミング」とは、ジャマイカのパトワ(田舎言葉)で、一緒になったりお祝いすることを指しているという。
蛇足だが、ボブの「アイ・ショット・ザ・シェリフ(I Shot the Sheriff)」を1974年にエリック・クラプトンがカバーし、全米1位となっている。