2016.9.12(月)
富士山は日本一高い山。
では日本一低い山は?
の問いに答えるページです。
「日本一低い山」のぼり比べ」
2016年6月15日 Daily Portal「はつけんの水曜日」(斎藤公輔氏)
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_4f0c36b574944ce8b49e356bca362146~mv2.jpg/v1/fill/w_108,h_56,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_4f0c36b574944ce8b49e356bca362146~mv2.jpg)
この規模の山の話です
「日本一高い山」といえば、もちろん富士山である。しかしその逆、「日本一低い山」も当然存在する。 「低い山」界で著名な三低山、「天保山」「弁天山」「日和山」を登り比べてみた。
「日本一低い」とはいったい
「日本一低い山」がいくつかある、とさらっと書いたが、いきなり日本語として破たんしている。でもウソではない。そう書いてあるのだ。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_7ffd877002824dfe8245a446bf198e7b~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_7ffd877002824dfe8245a446bf198e7b~mv2.jpg)
騙されたと思ってちょっと見て欲しい。まずこれが、日本一低い山「天保山」
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_3ca9f8ff739a415c8c36db4058608d08~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_3ca9f8ff739a415c8c36db4058608d08~mv2.jpg)
こっちは、日本一低い山「弁天山」
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_b54d3732c5504d588182331519ad7abf~mv2.jpg/v1/fill/w_115,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_b54d3732c5504d588182331519ad7abf~mv2.jpg)
そして最後は、日本一低い山「日和山」。どう見ても3つとも「日本一低い」って書いてある
これ、厳密には「○○という条件で、ここは日本一低い山」という、日本一低い山争奪戦が各地で繰り広げられているのである。 イメージとしては、名物によくある「初代」「元祖」「本家」の名付け方に近い。それくらいのニュアンスの違いである。ホテルでいえば、「本館」「別館」「新館」みたいな(ちょっと違うか)。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_653fd638d00e4bc79abdf7d31cb4d9bb~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_653fd638d00e4bc79abdf7d31cb4d9bb~mv2.jpg)
いろんな表示を見てまわると、どういう条件で日本一低いのか書いてあった。関係ないが、「単位がミリメートルやん!!」とセルフツッコミが入るのが大阪らしい
「一番じゃなきゃダメですか?」という有名なセリフ(?)がある。低い山に限っていえば、やっぱり一番じゃなきゃダメなのだ。「日本で二番目に低い山」だとアピールが弱くなるし、下手をすれば「日本で三番目に低い山」という、さらに微妙な立ち位置にもなりかねない(私はそんな微妙なのも好きだけど)。 しかし、このような曖昧な表示では登山者の誤解を招くおそれがある。などと国民生活センターのようなことを考えたので、それぞれどのくらい日本一なのか、順番に登って確かめてみた。
低い山の王様「天保山」
低い山に関心がなくても、天保山の名前は知ってる人が多いだろう。大阪の「海遊館」があるのが天保山(地域名)であり、その海遊館の横にひっそりとそびえるのが、日本一低い山「天保山」だ。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_bd3c821509134919a64026a913d27a91~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_bd3c821509134919a64026a913d27a91~mv2.jpg)
天保山の最寄り駅は、大阪市営地下鉄「大阪港駅」。市街地にあって交通の便がよいのが特徴で、駅を出ると視界にいきなり観覧車が現れる
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_d71468e3048a402d870ced7c9e9e23d5~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_d71468e3048a402d870ced7c9e9e23d5~mv2.jpg)
5分ほど歩いた先の突き当たりが運命の分かれ道。左へ行くと、家族連れでにぎわう海遊館へ。そして右へ行くと、天保山がそびえる公園に
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_c3303e4e58aa49a78a5db8dd2538f7b7~mv2.jpg/v1/fill/w_114,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_c3303e4e58aa49a78a5db8dd2538f7b7~mv2.jpg)
その、何の変哲もない公園入口。海が近い
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_b5cbca9ac76c422abe74b3fad7fe72eb~mv2.jpg/v1/fill/w_114,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_b5cbca9ac76c422abe74b3fad7fe72eb~mv2.jpg)
まずは公園の正面にある階段(13段)を上る
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_2b1742e34a1d4c67bb6b5278d1ee5590~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_2b1742e34a1d4c67bb6b5278d1ee5590~mv2.jpg)
そのまま公園内の平地を直進
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_df2d7097fb6243bb91ae80c8f8429fc2~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_df2d7097fb6243bb91ae80c8f8429fc2~mv2.jpg)
私の足で118歩、1分ほど歩いた先に、再び階段(8段)がある
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_3649b03ebca041ccbd22f5f613d5978e~mv2.jpg/v1/fill/w_114,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_3649b03ebca041ccbd22f5f613d5978e~mv2.jpg)
ゲートボールをしている地元の方々を横目に進むと……
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_0c50542826ba47d28bf4be393473a453~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_0c50542826ba47d28bf4be393473a453~mv2.jpg)
三角点と共に、山頂の表示が出現。お疲れさまでした
別に公園の案内をしていたわけではなく、これが天保山なのだ。 気になる標高は4.53メートル。いろいろと突っ込みどころはあるが、とにかく「山」感がないのが気になった。公園の一部というのもあって、ふもとからの高さを全く実感できないのが大きな理由である。 おまけに天保山の山頂よりも、公園内にある別の丘の方が高いのだ。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_5b5d89f7c2f442248df2da3820c8cf07~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_5b5d89f7c2f442248df2da3820c8cf07~mv2.jpg)
天保山山頂から望む、隣の丘(山ではない)
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_3f68cb8ce7c24aa9a317c3e52f3a86dd~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_3f68cb8ce7c24aa9a317c3e52f3a86dd~mv2.jpg)
その丘の上から望む、天保山山頂。山とは何なのかを考えさせられる
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_f1d8c3d5c60646e185f843211ee5fd44~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_f1d8c3d5c60646e185f843211ee5fd44~mv2.jpg)
残念ながらずいぶん前に撤去されてしまったが、昔は丘の上に挑発的な看板があった(2001年撮影)。いい看板なので復活してほしい
天保山は日本一低いのか
天保山の起源は、公園の入り口に日本画と共に記されている。なんでも、「川浚え(かわさらえ)の土砂を積み上げてできた」山らしい。つまりは、人工の山ということになる。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_8e3443ee445842bf9541fda51d8c8548~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_8e3443ee445842bf9541fda51d8c8548~mv2.jpg)
できた頃の天保山はこんな感じだったらしい。今とは比べものにならないくらい高い。地盤沈下によって、どんどん低くなっていったとのこと
私は天保山に何度も訪れているので、ある程度の変遷が分かる。数年前までは、特に但し書きもない、本当に「日本一低い山」だった。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_c1732937ef1c4912a627f77ed362b250~mv2.jpg/v1/fill/w_114,h_76,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_c1732937ef1c4912a627f77ed362b250~mv2.jpg)
2011年の山頂。この頃は何の註釈もなく「日本一低い山」と書いてあった
風向きが変わったのは、2014年のこと。天保山よりも低い「日和山」が、国土地理院に山として認定されたのだ。日和山についてはこのあと訪問するので、詳しくは後ほど。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_3e111b4492d1457eb8f0f30c9ad7a6d2~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_3e111b4492d1457eb8f0f30c9ad7a6d2~mv2.jpg)
そしてどうなったかというと、「二等三角点のある山の中では日本一低い山」になった。この注釈は、今のところ商店街に設置されてる看板にだけ書いてあった
知名度も、そして低さも間違いなく日本一だった天保山。それが突如あらわれた(なぜ突如あらわれたのかも後で分かる)日和山によって、王者の座を奪われてしまったのだ。ああ、なんと過酷な日本一争いであることよ。 というわけで、天保山は厳密には「日本一低い山」ではなかった(日本で二番目に低い山)。 しかし、地元ではいまも「日本一低い山」として親しまれている。私も天保山には馴染みがあるので、無下に二番目と呼ぶのも気が引ける。ここはひとつ、「日本一低い山の一種」ということにしておきたい。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_70517078b495417d99eb85ee887ffb2c~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_76,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_70517078b495417d99eb85ee887ffb2c~mv2.jpg)
商店街のお店に行くと登頂証明書がもらえた。都会にいながらにして気軽に登山気分が味わえるスポット、それが天保山
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_9578574bc32e449fa07f694feeae09f3~mv2.jpg/v1/fill/w_122,h_75,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_9578574bc32e449fa07f694feeae09f3~mv2.jpg)
孤高の存在「弁天山」
次に紹介する「弁天山」は、四国・徳島県にある。私の地元でもあるため、実は毎年正月に登山している馴染みの山だ。もうかれこれ10年くらい元旦登山を続けている。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_759ff0aa41dd4763975219ccf57b9962~mv2.jpg/v1/fill/w_114,h_85,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_759ff0aa41dd4763975219ccf57b9962~mv2.jpg)
JR牟岐線「地蔵橋駅」から約1kmほど行った田んぼの真ん中に、突如出現するこんもりとした緑色。これが、日本一低い山「弁天山」である
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_34764df2d7a1473d86d4448e6ae1b59a~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_34764df2d7a1473d86d4448e6ae1b59a~mv2.jpg)
天保山とは対照的に、まわりには田んぼや畑といった、のどかな風景が広がっている
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_1516896692724f34b8eed628040adf9a~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_1516896692724f34b8eed628040adf9a~mv2.jpg)
登山道の入り口に鳥居があるのが特徴。山頂に神社があるのだ
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_251748574eb44bce8a4674cfd52f3ed5~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_251748574eb44bce8a4674cfd52f3ed5~mv2.jpg)
最近では、富士山の世界遺産登録を祝う看板が出ている。日本一低い山として、日本一高い山をリスペクトする姿勢が見られる
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_4b0ac17ca2484d8ba7eecc3cb0b70f78~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_4b0ac17ca2484d8ba7eecc3cb0b70f78~mv2.jpg)
富士山をかたどったライトアップをしていた時期もあった。よほどの富士山好きとみてとれる
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_ab87d774b2234cd9a1f3e685e5af0d06~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_ab87d774b2234cd9a1f3e685e5af0d06~mv2.jpg)
登山道もわかりやすい。鳥居をくぐると、山頂まではゆるやかな石段が続くので、そこを道なりに登るだけ
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_bd88001fb2dc41789646d4e1ea9f79f9~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_65,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_bd88001fb2dc41789646d4e1ea9f79f9~mv2.jpg)
山の左側から見るとこんな感じ。人がいるところが山頂
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_a5cea3584d7c46589dc629917585a22f~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_85,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_a5cea3584d7c46589dc629917585a22f~mv2.jpg)
登山時間は約15秒。山頂には、記帳所(左)と祠(右)が鎮座していた
ここは天保山と違って、登山しているときに一応「山を登っている」という実感があった。また、周囲が田んぼや畑ばかりなので、山のこんもりした感じも際立っていて素敵だ。 家にジオラマを飾りたいと思うほどに、弁天山は愛おしい山である。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_75fe66d22a864a32bb355bf67a867ec2~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_75,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_75fe66d22a864a32bb355bf67a867ec2~mv2.jpg)
山頂からの景色はこんな感じ。こうしてみると、そこそこ高さがあるように感じる
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_41c0a663832445f68571311666f077ab~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_41c0a663832445f68571311666f077ab~mv2.jpg)
ちなみに山頂の記帳所の中には、かつて登頂したという福山雅治と、
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_948cd7844e50404b87c2f4f753c90f6c~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_948cd7844e50404b87c2f4f753c90f6c~mv2.jpg)
キンタロー。の写真(わざわざポスターを作ったのか?)が貼ってあった。先の富士山リスペクトもそうだが、こういうミーハーなところが田舎っぽくて良い
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_c4ef8519157946f2aa4ee3881079d507~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_c4ef8519157946f2aa4ee3881079d507~mv2.jpg)
賽銭箱に取り付けられた、謎の盗難警報器のことも気になる
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_b7fc2c082e044cddaa201bbf9ec52a0c~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_b7fc2c082e044cddaa201bbf9ec52a0c~mv2.jpg)
毎年登っているので分かるのだが、昔はこのようにただの木の賽銭箱だった(2005年撮影)。何があったんだ弁天山
そして肝心の低山競争については、天保山など我関せずといった感じで、堂々と「日本一低い」を自称している。もちろん、天保山を抜いて日和山が日本一になった今でも、弁天山は揺るがない孤高の存在を気取っている。なぜなのか。
弁天山は日本一低いのか
弁天山の標高は6.1メートル。天保山の4.53メートルと比べると、実に1.3倍もの高さがある。高い! いや、正確には低いけど、高い。 しかし、弁天山にはある特徴があった。ふもとに設置されている由来の看板を見てみると……
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_96c5873652114c4593f9f5c066d26779~mv2.jpg/v1/fill/w_111,h_76,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_96c5873652114c4593f9f5c066d26779~mv2.jpg)
「自然で古来よりある山では」日本一低い、という但し書きが。ここに書かれている他の低い山というのが、「天保山」と、この後に紹介する「日和山」だ
思い出して欲しい。天保山は、川浚えの土砂を積んだ人工の山だった。自然にできた山である弁天山は、そんな人工山なんて端から相手にしてなかったのである。 たしかに人が土を盛れば、そこが低い山になる。人が盛ったかどうかで山の価値が決まるものではないが、同列で比較するのは難しい。自然にできた低い山が、それをアピールするのは納得のいく話である。 弁天山は、厳密には「日本一低い山」ではない。純粋に高さを比べると、日本で三番目である。しかし、自然にできた山として大きなアドバンテージがあるので、弁天山もやはり「日本一低い山の一種」ということになるだろう。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_f946cbdc5fd3485cb0c8483d34cfb147~mv2.jpg/v1/fill/w_111,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_f946cbdc5fd3485cb0c8483d34cfb147~mv2.jpg)
弁天山にも登頂証明書があって、山の向いにあるラーメン屋でもらうことができる(10年前にもらっていた)
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_38fc467c4e9e41c3b89a6d40bc9d971d~mv2.jpg/v1/fill/w_116,h_68,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_38fc467c4e9e41c3b89a6d40bc9d971d~mv2.jpg)
さて、最後はたびたび名前が出てくる「日和山」へ。
新世代の日本一低い山「日和山」
さて、最後はいよいよ、天保山を抜いて日本一低い山になったという「日和山」だ。ところ変わって、場所は東北・仙台にある。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_ff87ec8df1b54755bd7d685145587fba~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_ff87ec8df1b54755bd7d685145587fba~mv2.jpg)
車を使わずに日和山へ行くのは難しい。しかし、ここはぜひ苦労して公共交通機関と徒歩で行ってみてもらいたい。まずは仙台駅から電車で15分の「陸前高砂駅」へ
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_d13f2325798940f188434ece9605864b~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_d13f2325798940f188434ece9605864b~mv2.jpg)
そこから路線バスに乗り換え約5分、「中野新町」というバス停で下車(仙台駅から路線バスに乗るルートもある)
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_23f1555e83344167b4a16caad6dae948~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_23f1555e83344167b4a16caad6dae948~mv2.jpg)
この先は交通機関がないため、約5kmの道のりを徒歩で行くしかない
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_84d280c3d5dc40c2892d2e0bbf401e88~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_84d280c3d5dc40c2892d2e0bbf401e88~mv2.jpg)
進むにつれて、徐々に景色が変化してくる。電柱がやたら目立ってみえるほど、周囲に人工物がない
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_c25684e4be2d4e778cdcabc25ea1cc0a~mv2.jpg/v1/fill/w_114,h_76,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_c25684e4be2d4e778cdcabc25ea1cc0a~mv2.jpg)
荒野のような平地が延々と……。殺風景すぎて不安になってくる。空がこんなにも広く見える
なぜここまで何もないのかと言うと、実はこの辺り、震災の津波被害を受けた地域なのである。工事中の区画や、行き止まりになっている道も多い。元はどんな土地だったのだろう、どれくらい人が住んでたのかなあ、などと考えを巡らせているうちに、だんだんと海岸線に近づいてきた。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_3a6a1b93af194c0a9d2aeeb29870a2dd~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_3a6a1b93af194c0a9d2aeeb29870a2dd~mv2.jpg)
立ち枯れの木がやけにフォトジェニックで、いっそうの寂しさを誘う。スマホで現在地を確認しながら歩かないと、どこに向かってるのか分からなくなる
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_bcdfe9df948b4df987b4aac946a790d0~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_bcdfe9df948b4df987b4aac946a790d0~mv2.jpg)
やがて道の果てに堤防が見えてきた。ここまで山の気配はまるでないのだが、
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_d6d70a1828894a458a2034b070f36bf0~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_d6d70a1828894a458a2034b070f36bf0~mv2.jpg)
突如「日和山」の看板が出現。ついに着いたようだ
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_1ddc29345e6b44579e1de89d165acdb5~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_85,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_1ddc29345e6b44579e1de89d165acdb5~mv2.jpg)
心の準備もできぬまま、いきなり登山口に差し掛かる。階段になっているので登りやすい
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_7d12e87a41f84fd4bca5f8d302b727aa~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_84,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_7d12e87a41f84fd4bca5f8d302b727aa~mv2.jpg)
慎重に階段を登ること4歩。日和山の登頂に成功した
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_3c30f449ed234ba6b72346716c7b001a~mv2.jpg/v1/fill/w_110,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_3c30f449ed234ba6b72346716c7b001a~mv2.jpg)
山頂からふもとを望む
えーと。これは……。 自分のなかにある「山」の概念が音を立てて崩れていくのを感じた。これは間違いなく「日本一低い」という名前通りの山だ。圧倒されて言葉を失った。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_5d8f83fe816146fd8ba935b5384bca93~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_86,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_5d8f83fe816146fd8ba935b5384bca93~mv2.jpg)
とはいえ、果たしてこれは山なんだろうか(禁句)
日和山は日本一低いのか
なぜ最近になって、日和山が天保山を抜いて日本一低い山になったのか。それは、東日本大震災が影響している。もうお分かりかと思うが、津波で削られて低くなったのだ。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_d19268ce4032460b818aa51ffa3df656~mv2.jpg/v1/fill/w_113,h_63,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_d19268ce4032460b818aa51ffa3df656~mv2.jpg)
海が目の前にあるので、きっと津波をもろにかぶったのだろう
気になる標高は3メートルとのこと。しかし、周囲がなだらかに盛り上がっているので、ほとんど高さを感じさせない。実感としては、1メートルくらい。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_19351b7082574b90853edafd1f30ac6a~mv2.jpg/v1/fill/w_112,h_64,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_19351b7082574b90853edafd1f30ac6a~mv2.jpg)
かつては「日本で二番目に低い山」だった日和山は、「元祖・日本一低い山」を名乗っていた(天保山が地図に載る前は、日本一低い山だったため)。その名称は今も看板にひっそりと残っている
事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもので、まさか「日本一低い」の称号が更新される日が来ようとは、誰も思ってなかっただろう。もともとは人工の山だけど、それが自然の力で日本一に成り上がった(成り下がった?)のだ。 他の「日本一低い山」である天保山や弁天山を見たあとなので、余計に感慨深いものがあった。 日和山は、名実ともに「日本一低い山」だ。他の山も「日本一低い山の一種」として敬う気持ちは変わらないが、日和山に心を揺すぶられたのは確かである。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_505f4d9402d34429b4875f1053ffa37d~mv2.jpg/v1/fill/w_114,h_72,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_505f4d9402d34429b4875f1053ffa37d~mv2.jpg)
このほかにも、大阪府堺市に「一等三角点のある山としては日本一低い山」といわれる「蘇鉄山」があるらしい。未訪問なので、近いうちに訪れてみたい。 また、「低い山」にまつわるエピソードは、日本だけではない。『ウェールズの山』は、まさに低い山がテーマの、実話を元にした映画だ。 ストーリはこんなの。村自慢の「山」を測量してみたら、山と認定するにはわずかに高さが足りなかった。このままでは、おらが山が単なる「丘」になってしまう! その危機を脱するため、村人が山を盛るのである。人力で。 山を人工造成したり、山なのか丘なのかといったような話は、世界共通みたいだ。低山に興味を持った方は、ぜひ合わせてご鑑賞いただきたい。
![](https://static.wixstatic.com/media/4283f6_efe32d42d9a24738a7d6b8983c19ff00~mv2.jpg/v1/fill/w_98,h_66,al_c,q_80,usm_0.66_1.00_0.01,blur_2,enc_auto/4283f6_efe32d42d9a24738a7d6b8983c19ff00~mv2.jpg)
土砂を積み上げてこの規模の山を作ったという天保山も、冷静に見るとすごい